bW 経 営 コ ラ ム
2009/ 4/ 3
作成者:税理士 舩 橋 信 治 
経営の税務から相続税まで幅広く解説致します。 
 こんにちは。お久しぶりです。確定申告で奮闘しておりましたので、コラムを一時中断してしまい申し訳あり
ませんでした。今日は、ちょっと難しいお話をいたします。農地等の贈与税・相続税の特例についてです。
 相続時精算課税と同じでストーリーが長いので何回かに分けて解説してまいります。やはり、私は花や土
が好きですからね。それに近い農業・農地も気になるわけです。
 一言でいうとこの特例は、農業を守るために考えられたものです。国の基幹産業である農業を守ることは
重要なことですね。では、農業に携わっていない方も覚えておいて損はしませんので、頑張って覚えてしまい
ましょう!!
1.概要
 農業をしていくということは、農地を保有し続けていくという難しい課題と常に向き合っております。それほ
ど農地を保有していくということは固定資産税の支払等も含め大変なことなんですね。そのために税務上
は、農地の保有を守っていくために二つの制度を設けております。
 一つは、農業後継者が農地等を生前一括贈与により取得した場合については贈与税の納税猶予の特例
制度を受けられるというものです。
 二つ目は、農業相続人が農地等を相続又は遺贈により取得した場合については相続税の納税猶予の
特例制度を受けられるというものです。
2.注意点
 この制度は、その納税猶予の特例の適用を受けた者が、農業経営を継続することを前提として設けられ
ているものですので、その免除要件に該当する前に、特例の適用を受けた農地等を譲渡したり又は農業
経営を廃止したりした場合などには、その納税の猶予に係る期限が確定し、その納税の猶予を受けていた
税額の全部又は一部を納付しなければならないことになります。
3.贈与と相続の密接な関係
  農地等の承継過程における課税関係は、贈与税から相続税、更に次の世代に農地等の贈与があった
場合の贈与税という問題が生じますので、両制度は相互に接続しあった関係にあるということができます。
 
@  贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていた贈与税額は、その農地等の贈与者が死亡したときに
   は免除される。
 
A その死亡した贈与者から受贈者(農業後継者)が相続又は遺贈により取得したものとみなされて、その
   死亡の日の価額により相続税が課税されることになる。
 
B この場合、その受贈者である相続人は、改めて相続税の納税猶予の特例の適用を受けることが出来
   る。また、相続税の納税猶予の特例の適用を受けた相続税額は、原則として、農業相続人が20年間
  農業経営を継続した場合には免除されます。
  ※農業相続人が、後継者育成のためあるいは農業の経営移譲年金受給のためなどの事情により、20
   年を経過する日前に、農地等の生前一括贈与をした場合においても納税猶予を受けた相続税額は
   免除されることになります。
 
贈与税及び相続税の納税猶予の関係
親  贈与者   贈与の日まで3年以上農業を営んでいた個人であること。
農地等の生前一括贈与  農地の全部・採草放牧地の3分の2以上・準農地の3 分の2以上 
子  受贈者   年齢18歳以上であること・贈与者の推定相続人であること・3年以上農業に従事してい
            たこと・贈与をうけた後速やかに農業経営を開始すること。
 贈与税発生  農地等の価額に対応する部分は納税が猶予される
納税猶予の確定事由に該当する税額を除く
贈与者 親 の死亡により免除
納税猶予の適用を受けていた農地等
 ↓
相続又は遺贈による取得とみなされる
 農業相続人となる  農業経営を申告期限までに開始すること
相続税額発生
特例適用農地等の価額のうち農業投資価格を超える部分に対応する金額は猶予される
納税猶予の確定事由に該当する税額は除く
生前一括贈与により免除
贈与税の納税猶予・・・この繰り返し
 
措置法70の4の概要 
 農業後継者が農地等の贈与を受けた場合には、一定の要件のもとにその年分の贈与税額のうちその
 農地等の価額に対応する部分の税額については、一定の事由が生ずる日まで納税猶予される。
 ※納税猶予とは納期限を延長するという意味であり、税額控除とは違う。
 
納税猶予額の計算方法
 (1)農地等の贈与があった日の属する年分の贈与税額
     (農地等の価額+その他の財産の価額−贈与税の基礎控除)×税率(百円未満切捨)
 
 (2)農地等の贈与がなかったものとした場合のその年分の贈与税額
     (その他の財産の価額−贈与税の基礎控除)×税率(百円未満切捨)
 
 (3) (1)−(2)=納税猶予される贈与税額
 
 まとめ:農地等の贈与税の納税猶予は、農地等の価額に対応する部分の税額についてのみ適用があり
      その他の部分の税額は、即納額として通常どおり翌年2月1日から3月15日までの間に納付し
      なければならない。
 
      コメント なかなか難しいですね。でないと税理士の存在価値がなくなって困るんですが・・・
            この農地等の納税猶予は、一般の書店の相続の本には書かれていません。なぜか
            というと簡単な言葉では説明出来ないし、誤解のないように説明しようとすると1冊
            まるまる分のページ数を必要とするからです。
            それでも重要な特例ですから書いてみました。部分的にザーと見ていただいて農地
            などは相続税や贈与税が安くなるんだなということを覚えておいていただければよい
            と思います。
            「相続税が払えないなら畑を売ればいい」・・・そんなふうに考えないで下さいね。畑は
            先祖からいただいた大切な土地です。そこには、先祖の思いというものが込められて
            います。
            畑が一つなくなるということはお金に変えられない大きな財産がなくなるということです。
            その財産を極力守っていくお手伝いをさせていただくのが税理士の仕事です。

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